どのアイデンティティ・システムでも中心的な存在となり、そのシステムが支持されるかどうかのカギを握るのがロゴである
ロゴはサインであり、簡単に認識できるようにデザインされた識別マークである。国際企業から慈善団体まで、そして政党から地域団体、学校にいたるまで、世界中のありとあらゆる企業・団体がロゴを使用している。ロゴはまた、個々の製品やサービスを識別する。
ロゴがいたるところに存在し、記憶や感情、連想をときほどく偉大な力をもっているのは、広告およびコーポレート・コミュニケーションの分野での150年におよぶ急成長の産物である
ロゴ(あるいは、それにあたるもの)の歴史は、文明社会と同じくらい古い。ブランディングとはものの所有者を特定する手段であり、その起源は、古代エジプトの大貴族や神殿が行っていた家畜の皮や角への焼き印や、古代ギリシャおよび古代ローマの職人たちによる「制作者の印」であると広く考えられている。「制作者の印」は、その商品がどの地域で制作されたにせよ、帝国全土のいかなる場所でも信頼をもって取引されることを可能にした。これが現代の商標の役割に受け継がれている。
企業の社長のひらめきによって、一風変わったコーポレート・シンボルが採用されるなどということは、はるか昔のことになってしまった
大ざっぱに言うと、ロゴの制作はマーケティング部門あるいは団体・企業に属する個人から依頼されるもので、社内のグラフィック・デザイナーあるいは外部のデザイン会社のいずれかが制作する。デザインの承認は、通常、その団体・企業の上層部の管理者が行うか、経営者だけに委ねられる場合もある。ロゴを承認し、完成させていくプロセスには何カ月もかかり、その間にデザインの質や個性が損なわれてしまうこともある。
ロゴは企業自体を透かし見るレンズのようなものだ
企業のロゴは、ある企業を別の企業とは違うということを認識させるのに役立つ。ロゴは、企業のリーダーの視点に立ち、その企業のベストな状態を表現する活動や価値観、姿勢などを視覚的に反映している。
顧客が直接企業と関わった結果として抱かれるイメージにくらべれば、ロゴの意味などはあまり重要ではない
ロゴは何も意味する必要はない。ロゴの主な目的は、情報の提供だ。物や人、場所が属するものを伝えるのである。
ロゴは、非常に多くの環境やブランドの用途のなかに存在し、さらにそこで自然に見えるようでなければならない。
※ 引用は、「logo | Michael Evamy」